『モデムとエンジンと、夜の千キロ』

2025.7.3

スマホもSNSもなかった2000年代初頭。

地図とコンパスと音楽を頼りに、日本のテクノバンド「プノンペンモデル」はヨーロッパをツアーした。自由と無茶が共存していた時代の、熱と笑いと音楽のアーカイブ。

 

モデムとエンジンと、夜の千キロ
—前スマホ時代、テクノで走った欧州—

著: ことぶき光



ペーパーバック
B6判 386ページ

2025年7月3日発売
3700円(税込)
https://amzn.to/4lcequh

 

 

 

スマホもSNSもなかった2000年代初頭。
地図とコンパス、モデムとノートPC、そして音楽だけを頼りに、日本の電子音楽バンド「プノンペンモデル」は、独自のヨーロッパツアーを敢行した。

 

本書は、ミュージシャンである著者・ことぶき光が、その旅の全貌を記録したロードドキュメントである。
ベルリン、ハンブルク、パリ、ローマ……。欧州を横断しながらライブを重ね、車で夜を走り、CDを売り、食費と移動費を捻出しながら、ミュージシャンたちは何を見て、何を鳴らしたのか。

 

  カーナビもユーロもない時代、現地の電源プラグや通信環境すら分からずに、それでも演奏を続けた。
 ラジオ出演はドタキャンされ、ライブ中にパフォーマーが乱入、半裸のケーキ投げが始まる。
 だが、フロアは沸き、アンコールは鳴った。音楽は鳴り続けた

  

この本には、都市の隙間で交差した音楽家たちとの出会い、グルーヴするPAスタッフの表情、無謀ともいえる地図なきドライヴ、ギリギリで成立させた公演、そしてラジオから流れたライブ音源が記録する「その瞬間」の空気が詰まっている。

 

今なら誰でも、スマホひとつで旅に出られる。
でも、あの時代にしかなかった無茶と自由が、たしかにそこにあった。

 

無謀で滑稽で、それでいてどうしようもなく愛おしい、表現の旅。
テクノ、電子音楽、GRICダイアル、インディペンデントな表現者、そして「旅する音楽家」にとって、この本はまさに、時代の端境を記録した実践録であり、感情のアーカイブである。

 

あなたがもし「どこか遠くへ行って、音楽を鳴らしたい」と一度でも願ったことがあるなら、
この本は、その気持ちにきっと火をつけてくれる

 

 

モデムとエンジンと、夜の千キロ
—前スマホ時代、テクノで走った欧州—